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11.2015
酪農・畜産事業目線でTPP協定交渉の大筋合意説明会に参加しました。
by かすや法務行政書士事務所
2015年11月4日(水)、メルパルクホール大阪で行われた「TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会(大阪会場)」に参加してきました。
ご自身も晴天の霹靂とおっしゃってましたが、TPP反対のお立場だった高鳥副大臣のご挨拶で始まった説明会。
農業・畜産・水産関係者も多く参加されていました。
説明会後、厳しい質問もありましたが、詳細はこれからの協議を待つことになるようです。
上記配布資料は、後日内閣官房のホームページに掲載される予定だそうです。
さて、「酪農・畜産事業の立場」で今回の説明会に参加したわけですが、安心していられない状況にかわりはありません。
(牛肉の例)
・最終税率9%→関税撤廃を回避した例外を獲得
・16年目までという長期の関税削減期間を確保
・関税削減期間中は、輸入急増に対するセーフガードを確保
ぱっと見は、いますぐ大変なことにはならなさそうな内容に見えますが、牛肉の16年目までという長期関税削減期間なんて、たぶんあっという間です。
しかも、16年目以降のセーフガード発動時の税率は、セーフガードが発動しなければ毎年1%ずつ削減し、4年間発動がなければ、終了するというもの。
酪農・畜産事業の大規模化といっても限界があります。
「和牛」と一口にいっても「神戸牛」をはじめとする、各産地のご当地牛があり、「これが日本の和牛」といって大量に出せないという事情があります。
事業者目線で考えれば「大変」の一言ですが、一方消費者目線で考えれば、「良いものが安く購入できる選択」を得ることができるとも言えます。
弊所のクライアント様は、日本国内にとどまらず、海外事業への展開によって、酪農・畜産事業の大規模化を図ろうとされています。
日本のノウハウで現地生産し、現地ルートで販売する。物のあふれていないところで勝負する。
すごく面白いと思います。
現地政府と太いパイプをもつアドバイザーとのアポも取りました。来週面談に同行します。
TPPをチャンスに変えよう、海外で日本の農産物を販売しようと言っても、できるところとできないところの明暗は分かれます。
今年度末で廃業を余儀なくされる酪農家も少なくありません。
そして、酪農・畜産事業は、素人が「お試し」参入できる分野ではありません。
生き物相手であり、常に危険と隣り合わせです。家畜動物に対する必要最低限の専門的な基礎知識・技術が必要です。
人手不足も深刻で、大半は海外からの技能実習生が担ってくれている現状です。
事業者が生き残るためには、「TPP」について綺麗事も泣き言も言っている場合でなく、使える補助金はしっかり使いつつも、国に頼るだけでない新展開を考えていく岐路に来ているように思います。